Menuet [舞踏]

来年のダンス発表会に向けて準備を進めていますが、中々振り付けが頭に入ってくれません。年齢の所為にしたくは無いのですが、やはり、記憶力の衰えを感じます。でも、<千里の道も一歩から>と言う諺通り、何事も一歩を踏み出さなければ、始りません。覚え直しを何度も繰り返して、身体に踊りを覚えこませなければなりません。今、取り掛かっているのが、Menuet for Mrs. Santlow です。

普通、Menuet はカップルで踊られるものですが、ソロ用に作られたMenuet も少数ながら存在します。どちらのMenuet にしても、音楽は、2小節で一単位、ステップは1拍目と3拍目にアクセントが来ます。つまり、踊りには、ステップの中でへミオラが生ずるのです。

Pas de Menuet



それを感じながら踊るのは、結構難儀な事ですが、Menuet に於ける音楽のアクセントと、踊りのアクセントのズレから生じる微妙な不安定さこそ、Baroque らしさと言えるでしょうか。Menuet で使われるステップの中には、音楽のアクセントと一致するものありますが、多くは使われません。音楽と一致する安堵感を避けているようにも感じられますね。Menuet は普通に考えられているよりも、ずっと複雑に構成されているのです。

参考にしたくて、今、取り組んでいるMenuet performed by Mrs.Santlow の動画を探しましたが、一つだけ見つかりました。



他にもソロ用のMenuet を探したら、何と男性ソロ用のMenuet の動画を見つけました。Louis XIVの時代の卓越した男性舞踏家 M.Ballon の為に作られたMenuet です。観ると、このMenuet には、Menuet 特有の<Pas de Menuet>が用いられていません。これは非常に珍しい事です。Menuet の音楽を使ってChaconne を踊っているようです。でも、踊りの雰囲気は、Menuet なのです。これを踊っている舞踏家が、Menuet を熟知しているから出来た事なのでしょうね。舞踏譜さえあれば、僕もこのMenuet を踊ってみたいですね。何処かに所蔵されているのでしょうけれど、探し出すのは困難かもしれません。でも、踊りたいなぁ。



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Brian Asawa の最近の歌。 [音楽]

Haute-contre が好きなので、Haute-contre の話題が続きます。
最近の日本では、やや知名度が下がってきましたが、優れたHaute-contre に日系アメリカ人Brian Asawa がいます。最近、余り状況が伝わってこないので、YouTube で検索したら、沢山動画が出てきました。日本に情報が伝わってこなかっただけなんですね。最近の演奏と思われる動画を掲載します。





外見は、流石にオジサンになったなぁ、と思いますが、声や技巧、音楽表現は、相変わらず見事なものです。特に声が若い頃より練り上げられているのには、驚きます。彼は、息の長い活動をして欲しい歌手の一人ですね。

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the flames of Paris の宮廷舞踏場面 [舞踏]

先日、2008年にモスクワボリショイ劇場で上演されたバレエ<The flames of Paris>のDVD を購入しました。この公演は、初演のV.Vainonen 版の振り付け・演出を元に、現在のボリショイバレエ団の芸術監督Ratmanskyが新しく改訂したものです。初演版を知らないので比較出来ませんが、革命は、人民にとって前進である事には違いないけれども、その中で、王党派は勿論、人民側にも苦い苦しみを味わう人もいた事を、乾いた眼差しで描いていたように思います。

僕が興味を持って観た場面は、Louis XVI の王宮で繰り広げられた、舞踏会の場面でした。この中で貴族達は、Contre danse を踊りますが、可也Ballet classique の技巧を交えたものでした。また、舞踏会の中で宮廷舞踏家達に依って踊られるバレエシーン<Armide>は、そのままBallet classiqueでした。YouTube でこのシーンを探しましたが、見つかりませんでした。でも、30年程前の記録になりますが、Vainonen 初演版のものと推測される動画を見つけたので、掲載します。



この中の女性ヴァリアシオンは、ヴァイオリンをある程度習った事のある人なら誰でも弾いた事のある、Lully 作曲(とされている)のGavotte の音楽に振り付けられています。ヒストリカル・ダンスの見地から見れば、このヴァリアシオンの振り付けにGavotte の片鱗を全く見つけられませんが、Vainonen 自身、然程史実に基づいた振り付けは必要ないと考えたのかも知れません。この作品が初演されたのが1933年ですから、貴族社会への憎悪がまだまだ根強い時代、またソ連では、ヒストリカル・ダンスの研究が無かった時代に、この場面に正確なヒストリカル・ダンスを再現せよと言う方が、無茶というもの。僕は、この場面の踊りを初演当時の枠の中で考えられた宮廷舞踏のデフォルマシオンとして、観ました。

皆さんは、この踊りを如何お感じなるでしょうか。

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Tchaikovsky Pas de deux [舞踏]

僕は、古楽・Opera以外にも好きな芸術を持っています。それは、Balletです。ストーリー物の全幕バレエも好きですが、小品と呼ばれるストーリーの無い舞踏技術を見せるものも好んでいます。その中で一番好きな作品は、<Tchaikovsky Pas de deux>と呼ばれる作品です。この作品は、元々Tchaikovsky が<Le lac des cygnes>の第3幕Odile とSiegfried のGrand pas de deuxの為に作曲した音楽に、George Balanchine が振り付けをしたもので、男女のソリストが、持てる舞踏技術の最大限をこれでもかと披露する作品です。それでいて、観る側にアクロバティックな印象を与えず、清々しさを感じさせるのは、Balanchine の巧みな振り付けとその構成技術の高さの所以でしょう。僕が観た中で特に印象深かった映像を紹介します。







作曲者の意図とは全く違う性格を持ってしまった作品でも、優れた作品は、人の心を惹きつけて止みませんね。

arata

バロックからベルカントの新星登場 [音楽]

またまた、YouTubeで色々検索していたら、凄い歌手を発見しました。名前はJulia Lezhneva 、名前からして、ロシア人か東欧系。先ずは、僕を驚かせた驚異的な歌唱をお聴き下さい。





彼女は、E.Obraztsova competition のグランプリを勝ち取った歌手だそうです。声質は、やや暗めですが、輪郭のはっきりした声で、声域も広く、至難な装飾技巧も楽々とこなしています。技巧偏重の歌手かと思いきや、連綿たるカンタービレを程良い情感を込めて歌える事も出来るようで、手掛ける音楽の本質を理解し、リアライズする才能にも長けているようです。



僕の興味を惹いて止まない分野に優れた歌手が登場する事は、何よりも嬉しい事です。やはり、こう言う喜びを知ると、簡単に死ぬわけにはいかないなと思います。

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日本にも世界に通用するSopranista がいる。 [音楽]

先日、Radu Marian についてブログを書きましたけれど、日本にも世界に通用する可能性を持つ優れた資質を持つSopranista がいます。名前は<木村友一>、聖徳学園大学音楽学部の学生です。先にスポットライトを浴びたSopranista に<岡本知高>がいますけど、ややイロモノめいた彼より、木村氏の方が、正統的な存在になるでしょう。米良氏は、クラシック畑からポップスに移動し、岡本氏は、クロスオーバー的な存在、haute-contre のベテラン方も、数年前の勢いが無くなりつつある今、木村氏に、日本の古楽界の声楽部門で大いに活躍して欲しいと思います。






新しい才能発見 [音楽]

ブログを半年放棄していましたが(鬱が強くなって、何か書きたい精神状態にありませんでした。言い訳)、一寸精神状態が安定してきたようなので、少し文章を書こうと思います。

僕がまだ知らなかった凄い才能の男性歌手を発見しました。名前はRadu Marian 、声種はSopranista 。古楽界では、既に知られている存在らしいですが、Youtube で Male soprano を検索していたら、偶然彼を発見しました。百聞は一見に如かず。一度動画をご覧下さい。







声質は明らかにSoprano leggero で、音色や歌唱技術はEmma Kirkby に似ています。今迄僕が彼を知らなかっただけですけど、彼の歌を聴いて、とても新鮮な気持ちになりました。新しい才能に巡り合える事は、嬉しい事ですね。彼の CD やDVD 等は発売されていないようですけど、もし彼の録音の情報をお持ちの方がおられましたら、御一報下さい。

序に(と言えば失礼にあたりますが)、Sopranista の新星に次のような人がいます。名前はMoises Castillo。まだ20代と思われます。この動画では、Joaquin Turina の<Cantares>を歌っています。Sopranista も古楽を超えて、様々なレパートリーを手掛けるようになってきたのですね。この動画の歌唱も素晴らしいです。



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練習にて [舞踏]

今日纏まった時間が取れたので、発表会に向けての自宅練習を行いました(不十分でも、毎日時間を見つけてこそっと練習をしてはいます)。まだ、舞踏譜に書かれているステップを覚えるだけで精一杯ですが、それをしなければ、表現の段階まで進めません。今回も、ステップを身体に刻みつける気持ちで、舞踏譜と格闘していました。

何回も難しいステップの覚え直しを繰り返している内に、今迄とは違った感覚が湧いてきました。難しいステップを繰り返し練習していたら、この難しさは何を表現しているのだろう、と感じたのです。少し、踊る事を止めて、考えました。<もしかしたら、この難しさは、鋭利で且つ重みのある動きを要求しているのかもしれない> そう感じました。それで、ステップに自分なりのイメージを付加して、その難しいステップを踏んでみると、不十分であっても、なんとかこなせました。僕は、ステップにイメージを付加すると言う事を、今迄してきた積りでしたが、実際は、単にステップを覚えるという段階で留まっていたんですね。

舞踏譜に書かれているステップは、イメージを付加させなければ、只の脚の動きの羅列に過ぎません。こう考えると、舞踏譜に書かれているステップは、楽譜の音型と同じです。音楽でも、或る音型を弾く時、何のイメージも持たなければ、音の並列で終わってしまいますものね。

イメージは、簡単に出てくるわけではありません。その人の経験の多様さや深さによって、イメージの数が違ってきます。その為には、多くの経験が必要だ、と思います。反社会的な経験は不必要ですが、感情面の経験は多い方が良いですね。苦しさも、経験するべきなのだと思います。

芸事を披露する立場の人は、悦楽だけでなく、辛苦も十分に味わう必要があるでしょう。苦楽は表裏一体なのです。

誰からも頼まれていないのに、そんな労苦をする事は馬鹿げた行為に見られるかも知れません。でも、それをするのは、その芸事が好きで好きで堪らないからなのです。

arata

初合わせ [舞踏]

今日の午後、発表会の為の初めての音楽との合わせ練習をしてきました。音楽担当のA女史は、僕の大学の後輩。学年は重ならなかったけど、同輩である事に、安心感を感じました。

先ず、今日の練習の段取りを決めて、いざ、練習に入ってみると、暗記していた筈のステップが中々出てこない。焦りました。練習の段取りを変えて、音楽との合わせを後に回して、兎に角ステップの覚え直しをさせて貰いました。背中に汗が流れるのを感じました。一通り、ステップを覚え直してから、改めて、音楽との合わせ練習に入りました。

A女史は、流れるように音を紡ぎだす演奏をする方なので、そのままでは、音楽と踊りの間に乖離が出来てしまいます。なので、拍子感・リズム感を強調するように頼みました。最初は、中々上手く踊りとマッチしなかったのですが、練習を重ねる内に、彼女も僕も、音楽と踊りの調子の呼吸を合わせられるようになりました。不思議な事に、音楽が整うと、忘れそうになるステップも、ややもたつきながらも、出てくるものですね。踊りに於いて、音楽は伴奏ではなく、貴重な同格の相棒と言う事が、この事で解ります。

音楽との合わせ練習、今回が初回にしても、出来栄えは褒められたものじゃありませんでしたが、何事も、経験を積む事は必要です。誉められない出来栄えも糧となる筈、そう受け止めて、練習を終えました。

練習を終えて、次回の練習の日取りと行い方を決め、家に戻りました。練習での感覚を忘れない内に、復習を繰り返しました。すると、忘れそうになるステップが、その箇所に近づくと、頭の中に浮かんでくるではありませんか。やはり、不出来な結果でも、それが自分の糧になった事を実感しました。これからも、不出来・上出来関係なく、多くの経験を積もうと思います。発表会に向けて、気持ちを新たにした一日でした。

arata

行動開始 [舞踏]

今日の午後、一年半振りに、市立体育館の一室を借りて、バロック舞踏の練習をしました。午後1時過ぎから、午後5時まで、小休止を挟みながら、約4時間踊りました。久し振りに見るダンス・シューズのなんと愛しかった事。ダンス・シューズと部屋の床の相性が悪かったのですけれども、そんな事で、めげてはいけません。

先ずは、踊る為の身体作りのストレッチを約20分、踊りの基礎練習を約30分しました。これだけで、約50分掛りました。僕の踊りの基礎練習は、五個のポジションでのプリエ・エルヴェから始まります。それを終えると、只管、歩きます。色々なテンポに合わせて歩きます。歩くと、身体の状態が解るのです。姿勢・重心の位置・身体の歪み等々…。それらが解ったら、歩きながら、様々な箇所に神経を行き渡らせて、身体を踊りに相応しい状態に整えます。身体が踊りに相応しい状態になったら、足に神経を向けます。テンポに乗って歩いているかを点検する為です。テンポから外れて歩いていると、気持ち悪いですね。そうなった時、脚の付け根(股関節)を意識します。そこが敏感に動いているかを確認します。鈍くなっているな、と感じたら、股関節に意識を向けて、テンポに乗って歩けるように、股関節を敏捷に動かす努力をします。どのテンポにも乗って歩けるようになったら、脚がステップを踏める状態になるのです。

歩く練習を終えたら、ステップの練習に入ります。先ずは、バロック舞踏の基本中の基本<Pas de Bourree>を練習します。このステップも様々なテンポで練習します。歩く練習と同じで、踊りに相応しい状態に身体が整えられているかを確認する為に行います。確認出来たら、幾つかのステップを組み合わせて踊ってみます。<Pas de Bourree>を上手く踏めたなら、後は、その流れに沿って踊っていけます。

ストレッチと基礎練習を終えたら、今日は、作曲者不明の<Sarabande pour homme>と、A.Campra 作曲のBallet <Les Fetes Venetiennes>の中のEntree seul pour homme の二つの踊りを練習しました。Sarabande は、比較的覚え易く作られているので、割りに楽に踊れましたし、踊りの表情にも気を配る事が出来ました。後は、踊りを練り上げていくだけです。問題なのは、Entree でした。舞踏譜を注意深く読めば、きちんと踊れる筈なのですが、ステップの組み合わせが複雑に作られている踊りなので、覚えるのが難しく、最後まで覚え切れませんでした。予習はしたのですが、やはり、限られた時間内で、全曲覚えるのは難しかったです。でも、めげません。

今日、ダンス・シューズを履いて踊ってみて、改めて、僕は踊る事が好きなのだな、と感じました。僕には<発表会>と言う目標があります。今日感じた心の躍動感を常に心に留めて、踊りに取り組み続けます。

arata

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