Jaroussky・Bartoli・Genaux [音楽]
先日、立て続けに、18世紀にCastrato が歌ったであろう作品を集めたCD を3枚聴きました。歌っている歌手は、P.Jaroussky・C.Bartoli・V.Genaux です。
先ず、Jaroussky。18世紀の偉大なCastrato の一人、Carestini が手掛けた作品を集めたアルバム<The story of Castrato Carestini>です。
Jaroussky の歌唱には、天使が自由に空中を飛び廻っているような軽快さがあります。表現も緻密で繊細。でも、カウンターテノールの発声技術の限界が原因なのか、ディナミークの幅が狭く、力強さに欠けるようにも思います。
次に、Bartoli。Castrato の歴史を辿った作品集<Sacrificium>です。
Bartoli は、正に<天馬天空を駆け巡る>と言う言葉がそのまま当て嵌まるような、非常に動的な歌唱を聴かせてくれます。火山の噴火を思わせる歌から深山幽谷の湧き水を思わせる歌まで、彼女の多彩な声の音色と、幅広いディナミークをフルに活用して、多様な歌のキャラクターを、見事に歌い分け、表現していたと思います。また、彼女の強い表現意欲の所為か、時折粗い発声が聴こえる事もありますが、動と静・明と暗の対比が明確で、現代の芸術感覚を融合させながらも、正しくBaroque art をリアライズしているように、僕は感じました。
最後は、Genaux。Vivaldi のオペラのアリアを集めたアルバム<Pyrotechnics>です。
このアルバムには、女性役のアリアも含まれているので、Castrato が歌ったものばかりではないと思いますが、Genaux の歌唱は、最新鋭のコンピューターを搭載した中型飛行機を思わせます。その正確無比な技巧と確実な音楽造型には唸らされますが、声の音色がやや単色気味なので、多様な性格を持つ筈の夫々のアリアが、同系色に色付けされているような印象を持ちました。
てなわけで、18世紀の芸術観<疾風怒濤>を感じさせてくれるBartoli のアルバムに、最も惹き付けられました。
arata
先ず、Jaroussky。18世紀の偉大なCastrato の一人、Carestini が手掛けた作品を集めたアルバム<The story of Castrato Carestini>です。
Jaroussky の歌唱には、天使が自由に空中を飛び廻っているような軽快さがあります。表現も緻密で繊細。でも、カウンターテノールの発声技術の限界が原因なのか、ディナミークの幅が狭く、力強さに欠けるようにも思います。
次に、Bartoli。Castrato の歴史を辿った作品集<Sacrificium>です。
Bartoli は、正に<天馬天空を駆け巡る>と言う言葉がそのまま当て嵌まるような、非常に動的な歌唱を聴かせてくれます。火山の噴火を思わせる歌から深山幽谷の湧き水を思わせる歌まで、彼女の多彩な声の音色と、幅広いディナミークをフルに活用して、多様な歌のキャラクターを、見事に歌い分け、表現していたと思います。また、彼女の強い表現意欲の所為か、時折粗い発声が聴こえる事もありますが、動と静・明と暗の対比が明確で、現代の芸術感覚を融合させながらも、正しくBaroque art をリアライズしているように、僕は感じました。
最後は、Genaux。Vivaldi のオペラのアリアを集めたアルバム<Pyrotechnics>です。
このアルバムには、女性役のアリアも含まれているので、Castrato が歌ったものばかりではないと思いますが、Genaux の歌唱は、最新鋭のコンピューターを搭載した中型飛行機を思わせます。その正確無比な技巧と確実な音楽造型には唸らされますが、声の音色がやや単色気味なので、多様な性格を持つ筈の夫々のアリアが、同系色に色付けされているような印象を持ちました。
てなわけで、18世紀の芸術観<疾風怒濤>を感じさせてくれるBartoli のアルバムに、最も惹き付けられました。
arata
2010-01-06 06:36
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コメント(6)
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私も昨年Bartoliのアルバムを購入しました。
大理石の彫刻風のジャケットのBartoliにまずビックリしましたが、Castratoに関する事典(ブックレット)も充実していますね。
録音の中身についてはarataさんの仰るとおりだと思います。
by nyankome (2010-01-06 22:13)
nyankome 様
御訪問・nice&コメント 有難うございます。
このBartoli のアルバムは、昨年発売された夥しいCDの中でも、可也高いランクに位置されると思います。聴き終わった時、暫く呆然として、何も出来ませんでした。今やBartoli は、実践する音楽学者になったと思います。恥ずかしながら、ブックレットは、いまだ読み通せていません。
arata
by arata (2010-01-06 23:11)
sungen 様
御訪問&nice有難うございます。
arata
by arata (2010-01-07 11:48)
バルトリ、うまいと思うし、arataさんのおっしゃることにも納得ですし、Jarousskyも尊敬している歌手ですが、熱い歌い方が私の好みには合いません。
私はこの中ならやはりJarousskyです。
でもバルトリのそのアルバムを聴きたくなってきました。
by Cecilia (2010-01-09 09:23)
Cecilia 様
御訪問・nice&コメント有難うございます。
僕は、バロック芸術の特徴は、人を動揺させずにはいられない動きの激しさ・形の歪さにある、と考えているので、このような結果となりました。
バロックに限らず、芸術には多様な要素が含まれているので、Jaroussky の軽やかな演奏も、また<有り>だと思います。
arata
by arata (2010-01-09 11:08)
ながぐつ様
御訪問&nice 有難うございます。
arata
by arata (2010-01-11 10:06)