百万本の薔薇 [音楽]

古楽やクラシック音楽を立て続けに聴いていると、時々一寸軽音楽やポップスなどを聴きたくなります。最近、僕が良く聴くポップスは、1983年に発表されたロシアン・ポップス<百万本の薔薇>です。

貧しい画家が、或る女優に恋をし、彼女への愛を表す為に、家や持ち物をすべて売り払い、彼女が滞在している家の前の広場を薔薇で埋め尽くした。そして、貧しい画家は、彼女の滞在先に家の傍で、彼女が窓から広場を眺める様子を見ていた。女優は、彼の存在に気付く筈もなく、暫くして、その場所から別の町に移った。画家は、それでも、幸せだった。

こんな内容の歌です。今から27年も前に発表された歌ですけど、何故か、僕の心を惹きつけます。



当時、ロシアのポップス界の大御所 Alla Pugacheva が、歌って大ヒットしました。

日本では、加藤登紀子が歌って、ヒットしましたね。



この歌には、元歌がありました。それは、ラトヴィアのポップス<マーラの与えた人生>と言う歌です。この歌は、ラトヴィアの歴史を3代の親子をの人生に擬えて作られた歌で、マーラとは、ラトヴィアの守護聖女だそうです。<マーラが与えた人生>は、1981年頃発表され、大ヒットしました。それが当時のソ連にも伝わりましたが、ラトヴィア語とロシア語は全く違う言葉なので、ロシア人には、この歌の内容が解らない。そこで、新しいロシア語の歌詞がこの歌のメロディに付けられたわけです。

<マーラが与えた人生>は次のような歌です。

マーラは娘に生を与えたけど幸せはあげ忘れた子供のころ泣かされると
 母に寄り添って
 なぐさめてもらった
 そんなとき母は笑みを浮かべてささやいた
 「マーラは娘に生を与えたけど幸せはあげ忘れた」


 時が経って、もう母はいない
 今は一人で生きなくてはならない
 母を思いだして寂しさに駆られると
 同じ事を一人つぶやく私がいる
 「マーラは娘に生を与えたけど幸せはあげ忘れた」


 そんなことすっかり忘れていたけど
 ある日突然驚いた
 今度は私の娘が
 笑みを浮かべて口ずさんでいる
 「マーラは娘に生を与えたけど幸せはあげ忘れた」



上の動画はラトヴィアのポップス歌手 Aija Kukule が歌っている<マーラが与えた人生>です。

<百万本の薔薇>も<マーラが与えた人生>も、歌詞こそ違え、愛の重要性を訴えている歌だと思います。愛を忘れたくないですね。

arata
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nyankome

朝日新聞の土曜別刷に「愛の旅人」という連載がありました。現在は「うたの旅人」です。多分、「愛の旅人」のときだったと思いますが、この歌の記事を読みました。
歌は知っていましたが、経緯を知ったのはこのときが初めてでした。
愛の形はいろいろありますが、どちらの愛の形も素敵です。
幸せの形ですね。
by nyankome (2010-10-22 00:37) 

アヨアン・イゴカー

百万本の薔薇、いい歌ですね。聞いたことがあります。
そして、このプガチョワの名前も、随分前にロシア語講座をちょっとだけ見ていた頃に名前がでていました。「花はどこへ行った」をロシア語で歌っていたのを聞いて、とても感銘を受けたのを覚えています。
by アヨアン・イゴカー (2010-11-21 00:59) 

arata

nyankome 様
アヨアン・イゴカー様
御訪問・nice ・コメント有難うございます。
<100万本の薔薇>、とても印象深い歌だと思います。恋愛感情を成就させるのではなく、唯、その感情を抱いた人が幸せな気持ちになる事で、自らを満足させる…懐深い人のみが出来る行為だと思います。
元歌となった<マーラが与えた人生>も、祖国の歴史・運命に想いを馳せる歌ですね。人への愛・祖国への愛、どちらも大切な事だと思います。
今の世界情勢を見ると、愛の欠乏を感じてしまいます。
arata
by arata (2010-11-21 08:12) 

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