M.Callas の即興演奏の才能 [音楽]

Callas の歌唱を、YouTube で色々探していたら、非常に興味深い歌唱を見つけました。それは、1950年にRoma で行われた Rossini のオペラ<Il Turco in Italia>(この公演は、20世紀初演となりました)の一幕で歌われる Donna Fiorilla のCavatina <Non si da follia maggiore>です。Donna Fiorilla は、Callas にとって、それ迄手掛けた事のない役でしたが、まるで既に彼女のレパートリーとなっていたかの様な、見事な歌唱・演技を披露したそうです。

この公演の指揮者 Gavazzeni が一幕の Cavatina の終わりに Cadenza を入れるかどうかを Callas に訊ねたら、彼女はCadenza を入れる希望を、彼に伝えました。Callas は、指揮者やコレペティトゥールに任せず、彼女自身でこの Cadenza を作ったそうです。リハーサルの間に作った筈ですから、殆ど即興的に作ったと思われます。下の画像がその歌唱です。



Rossini 研究が、大きく進んでいる現在の視点から見れば、この Cadenza に疑問を持たざるを得ませんが、1950年という時代を考えれば、これはこれで凄い歌唱だと、僕は思います。

<再現芸術の世界であっても、真の天才的芸術家は創始的でもある>と、S.Galatopoulos が述べていますが、Callas はその代表的存在の一人でしょう。この様な歌唱を聴くと、益々、芸術家 M.Callas に惹きつけられてしまいます。

arata
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nyankome

研究が進んでくると、また時代が変わると、時代遅れの演奏という言葉が出てきますが、優れた演奏にはそんなことは関係がないように思います。
カザルスのBachの無伴奏チェロ組曲の演奏のように。
by nyankome (2010-11-23 23:22) 

arata

Promusica 様
御訪問・nice 有難うございます。

nyankome 様
御訪問・nice ・コメント有難うございます。
そうですね。貴方の仰る通り、真に優れたものは、時代を超越します。このCallas の歌唱も、彼女独自の歌唱であり、他の誰もがなし得なかったものだと、思います。

アヨアン・イゴカー様
御訪問・nice 有難うございます。

xml_xsl 様
御訪問・nice 有難うございます。
by arata (2010-11-24 05:18) 

arata

kako 様
御訪問・nice 有難うございます。
by arata (2010-11-26 06:52) 

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